古墳を中心に古代について、私生活も含めて語ります


by yumeoijyuku

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奈良の古墳めぐり・・その2-15

近鉄文化サロン 現地学習 09.08.20
煉瓦状の磚を積み上げた後期の磚槨式石室に入る

 5月にインフルエンザの影響で休講したので7月予定の講座を8月に実施することになった。桜井市の最終となる今回は桜井市の東部、宇陀市との境界近くに有る「花山西古墳」に向かう。
桜井駅南口からバスで「菟田野(うたの)町」行きに乗って国道166号線を東へ行き、宇陀市との境界にある女寄峠(めよりとうげ)の手前の「笠間辻(かさまつじ)」で降りる、15分ほどで着く。乗客は我々一行他一名で途中からは貸切となった。

 古墳のある山への入り口は、バス停の西、バックする方向になる。送電線が道を横断して北の山へ渡っているがその道路を横断している所を目印に、右手(北)の山に入る、軽四がやっと通れる程度のコンクリートで舗装された道があるのでこれを山に入って行く、この水路沿いの道を入って100m程行くと右手に車の駐車スペースのようにコンクリートが出張った所があって左手に水路が分かれている。この水路沿いに左手に入るが、水路沿いに行かずすぐ右へ小さな稜線を登る形で山に入る、人一人通れる程度の山道なので見逃さない様に進む。まず花山東古墳があって、その先20~30mに花山西古墳がある。

 花山東古墳は7世紀後半に作られた古墳で近くの榛原(はいばら)で採れる薄い榛原石をレンガ状に加工したもの(=磚(せん))を丁寧に積み上げた磚積みと言われる方法で、古墳の形式も磚槨墳と呼ばれている。花山西古墳も磚槨式であるが、その造りは横口式石槨墳と呼ばれる形式で格段に違う立派な造りをしている。羨道に続く前室が有り奥に墓室を持つ、磚の積み上げも石室全体に丁寧に仕上げられていて、隙間には漆喰が詰められている。一番奥の石槨の天井が一段低く、奥壁は下部が大きく割り取られているがきれいに仕上げた切石加工の一枚板が立てられている。前室との間に有った石の扉が手前に倒れた状態で残っている。鉄格子があるので入るのに一苦労するが終末期の珍しい古墳なので頑張って入って見てほしい。
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 国道に戻って終末期の古墳「ムネサカ古墳」に向かう。バスの来た道を桜井方面に下る。
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しばらく行くと右手に「森本運輸」あってその先の右手に古墳の説明板がある所を山に入るが、通路は手入れされてなく雑草で通れないので森本運輸に声をかけて構内から入るとよい。いずれにしても初心者が単独で古墳まで到達するのは難しい。この古墳も終末期に属する古墳で近鉄飛鳥駅付近にある岩屋山古墳と同じ設計のもとに築かれたとされる石室で、山の中にあって整美な古墳として有名。
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崇峻天皇陵の有力な候補天王山古墳

 次は国道に戻ってさらに桜井方面に下る。「下尾(さがりお) 口」バス停の信号を南へとりすぐ粟原(おおばら)川をわたり、坂を上り天王山古墳を横目にどんどん行き倉橋溜池沿いにある公園で昼休みとした。

 午後は先ほどの道を下って行くと赤坂天王山古墳に着く。道端に古墳の説明板があって左手にこんもりした赤坂天王山古墳(あかさかてんのうざんこふん)がある。田んぼの畦道を登って、奥のほうの田の畦道を左に林の中へ入るとすぐに1号墳の開口部が有る。入り口は土砂が溜まっていて入りにくい、以前にはロープが用意されていたが無くなっている。
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この古墳は元禄年間の南都奉行所の調査で既に塚穴が開いていた事が分かっている、そしてこの古墳を崇峻天皇陵(すしゅんてんのうりょう)としている。現在では崇峻天皇陵は倉橋地区のバス停「倉橋池口」近くの別の古墳となっているが、赤坂天王山古墳は6世紀末頃のもので、天皇が即位後5年で蘇我馬子に殺されたのが592年なので時代的には合っており、今でもこの古墳が崇峻天皇陵の有力な候補となっている。これが本物なら本来天皇陵であれば宮内庁の管理のもと立ち入り禁止となるところなので、我々が天皇陵の石室の中まで入れる貴重な遺跡となる。天皇陵と言われるだけ有って自然石ながら巨石が用いられた見事なもので、さらに二上山白製の刳抜式家型石棺が残置していて、入りにくい羨道部を無理して入った甲斐が有る。副葬品等は伝わっていない。
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1 号墳の開口部から出て墳丘の裾添いに左方向(西)へ回るとすぐ小さい古墳がある、開口しているが入り口が狭く中に入れない、更に左へ(北)廻るともう一つ開口した古墳があってここは簡単に中へ入れる。古墳の石室も自然石を使用しているが小振りのものである。
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さ らに坂を下り、バス道に戻る右に「下り尾」の集落に入る道がある。道なりに山手に向かう方の軽四がやっと通れる程度の道を行くと、ついに家が途絶えコンクリートの舗装も無くなり地道となるが、ここを更に進むと直ぐ左手に民家が見える。この家の裏に越塚古墳がある。
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 奥壁の石は巨大でその他の石も大きいが自然のままの石を使っており、6世紀後半頃のもので崇峻天皇陵の可能性の強い天王山古墳と関係が有ると思われている、時期的には天王山古墳より一段古い。石室はかなり広く天井も高い、訪問したとき、天井には蝙蝠が一匹ぶら下がっており石室の番人のように懐中電灯の光をうるさそうににらみ返していた。床には拳大から人頭大の石が敷き詰められていて石棺の底板2枚が残っているが、形からもう1枚あったと思われ底板3枚から成る二上山白凝灰岩製の組立式家形石棺があったと思われる。
ここからは山の切れ目に生駒山が遠望でき手前の桜井市内にはかすかに大神神社(おおみわじんじゃ)の大鳥居が見える位置に有る。

 「下尾口」バス停の所に戻ると角に果物屋が店をだしている。メンバーが自然と立ち寄って物色し出した、そのうちにアイスキャンデーやソフトを食べだした。最後には店の人が全員にバナナ一本ずつサービスしてもらった。一息入ったところで帰りを急ごう。朝バスで来た桜井駅の方へ引き返して行き、信号を越えたところを右の細い道に入る。しばらく行くと右手に「舒明天皇(じょめいてんのう)陵」への碑が見えるのでここを右(東)に入って行くと御陵に行けるが、今日は夏の天候で暑く、(案内の講師が一番)ばて気味なので全員一致で省略して、道を北へ北へととって朝倉台団地を経て近鉄「大和朝倉駅」で解散となった。それでも朝9時20分のバスに乗ってから、解散は3時半の強行軍であった。

 編集の都合で、古い写真も使用したので了解願います。
by yumeoijyuku | 2009-08-21 23:17 | 古墳めぐり案内